治験コーディネーターとは?仕事内容・必要な資格・メリットデメリット・転職する方法など詳しく解説

治験コーディネーターとは?仕事内容・必要な資格・メリットデメリット・転職する方法など詳しく解説

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医師・製薬会社と一般ボランティアの橋渡しとなるのが治験コーディネーターの仕事です。

治験とは、薬として国から承認を得るために厚生労働省の指導のもとに実施している臨床試験のことです。

看護ちゃん

一般に販売されている治療薬は、薬の対象となる患者さんや健康な人が被験者として服用した治験データをもとに安全性と効果が確認されて発売を許可されたものです。

サポート役とはいえ、治験コーディネーターは医療知識が必要とされるため、看護師から転職して活躍する人がたくさんいます。

治験コーディネーターとは具体的にどのような仕事なのでしょうか。

この記事は治験コーディネーターに興味がある人を対象に、仕事内容やどうすればなれるのかをご紹介します。

治験コーディネーターとは?

治験コーディネーターは「CRC(Clinical Research Coordinator)」とも呼ばれ、

病院やクリニックなどの医療機関と治験対象者の間に立ち、治験が適切に行われるよう調整(コーディネート)を行う仕事です。

治験とは、新薬開発のための臨床試験のことをいいます。

2021年はコロナでよく聞く「治験」

コロナワクチンのニュースでも「治験」というキーワードをよく聞きますね。

医薬品や医療機器の承認を得るためには、対象の患者だけでなく健康な人にも薬を投与し、その安全性や有効性などについてのデータをいくつも収集しなければなりません。

治験で収集したデータは厚生労働省が審査します。

薬は必要性や安全性を厳しく確認され、承認されると治療に使用できるようになります。

治験は「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」という規則の要件を満たした病院のみが行えるものです。

製薬会社は治験開始前に、治験担当医師が合意した「治験実施計画書(プロトコール)」を厚生労働省へ届け出る必要があります。

治験では厚生労働省がまだ承認していない薬を服用するため、被験者が不安を感じることがあります。

そのため、治験内容をわかりやすく説明して疑問や不明点の解消に努め、被験者の心理的負担を軽減することも治験コーディネーターの大切な仕事です。

看護ちゃん

治療コーディネーターは、未経験者でもなることができる職業ですが医療業務の調整や医薬品の専門知識が必要なので、医療関係の職種から転職する人がほとんどです。

看護師として培った知識と経験を生かせることから、看護師が治験コーディネーターにキャリアチェンジすることもあります。

治験コーディネーターの仕事とは?治験開始前~インフォームドコンセント

治験コーディネーターの仕事内容について、まずは治験開始前から同意説明までの過程をご説明します。

治験コーディネーターの仕事の流れを治験開始前から被験者に説明するところまで説明します。

看護ちゃん

治験開始前

製薬会社の担当者が勉強会を開き、治験実施計画書(プロトコール)をもとに、治験実施期間や獲得する症例の目標数値、薬の組成などについて説明します。

治験コーディネーターは治験実施計画書などの内容を読み込み、不明点や不安点は勉強会で全て解消しておきます。

準備が整ったら、製薬会社の担当者が治験を行う病院やクリニックで治験前に医師や看護師などを集めて説明を行います。

この説明会を「スタートアップミーティング」といいます。

スタートアップミーティングでは、治験実施計画書を確認し治験内容の説明や業務の担当を決めていきます。

治験コーディネーターは、スタートアップミーティングで使用する資料の作成や会議場所の確保といった事前準備を行い、ミーティング中の司会進行役を担当したり、スムーズにミーティングが進むようにサポートしたりします。

なお、ミーティングだけでは理解できなかった人やミーティングに不参加だった人には、個別に資料を配布したり、説明したりする必要があります。

治験に使用する検査キットの管理も治験コーディネーターの仕事です。

治験が開始されるまで、製薬会社から送られた検査キットの受け取りや在庫管理を行います。

被験者が来院したら検査を始められるように準備を整えておくことも大切です。

被験者を探す

治験の基準に合う被験者を探すことを「スクリーニング」といいます。

治験コーディネーターは、症例の目標数を達成するために、被験者を集めなければなりません。

被験者を探す方法は、

  • 医師からの紹介してもらう
    治験責任医師・治験担当医師から被験者候補を紹介してもらう方法
  • 電子カルテや病院医療情報システムから探す
    医療機関のカルテや登録者データなどを使い、被験者になる可能性がある人を探す方法
  • 治験ボランティア募集サイトを利用する
    新聞やインターネットに広告を出稿して一般の人の中から被験者を探す方法

 

などが一般的です。

治験コーディネーターが応募者の問い合わせなどに対応します。

治験の基準に合う人が見つかったら、来院してもらいます。

インフォームド・コンセント

治験コーディネーターのメイン業務の一つに「インフォームド・コンセント(同意説明)」があります。

インフォームド・コンセントは、被験者が治験についての説明を受け、参加の意思を表明(同意)することです。

治験責任医師は被験者に対して、治験の目的や方法、薬の副作用、副作用が起きた場合のことなど、あらゆる角度から十分に説明を行います。

治験内容を理解し、同意した被験者だけが治験に参加できます。インフォームド・コンセントは通常の治療説明でも行われるものですが、承認前の薬を扱う治験では特に欠かすことができない重要な業務となっています。

治験コーディネーターは、インフォームド・コンセントで使用する説明文書や同意文書、参考資料の作成補助を担当します。

そして、実際にインフォームド・コンセントの場に立ち会い、医師からの説明に対して治験の専門家として補足説明をしたり、被験者からの疑問を解消したりするのも治験コーディネーターの役目です。

被験者は治験薬の効果に大きな期待を寄せる一方で、副作用について不安を抱えています。

治験コーディネーターは、そんな被験者の悩みや不安を受け止め、「参加」か「不参加」なのかを決める最良のアドバイザーになることも求められます。

治験コーディネーターの仕事とは?被験者のケア~治験終了後

インフォームド・コンセントで被験者の同意を得ることができたら、治験コーディネーターは何をするのでしょうか?

治験中の被験者のケアから、治験が終了した後までの仕事内容をご紹介します。

被験者のケア

スムーズに治験終了を迎えるためには、被験者をケアすることが大切です。

治験が開始されると、被験者は定期的に医師の診察を受ける必要があります。

治験コーディネーターは治験期間中の被験者の診察予定や検査予定などをスケジュール表として作成し、予定通りに来院してもらうよう被験者に連絡することもあります。

被験者が治験期間中に禁止されている薬を誤って服用していないか、治験薬を正しく服用しているかを確認し、被験者の服薬管理を行うことも大切です。

そのほかにも、治験実施計画書を遵守して検査が行われるよう検査に立ち会って項目を確認したり、治験責任医師の診察に同席してサポートを行ったりします。

検査や診察が続くと被験者の中には不安を感じる人がいますので、被験者との信頼関係を築き、心理的負担を和らげることも治療コーディネーターの仕事です。被験者とのコミュニケーションが発生します。

治験関係者とのコミュニケーション

医師や看護師など、治験に関わるスタッフと調整を行い、治験がスムーズに進行するよう連携を図ります。

治験責任医師や治験担当医師以外の各関係者とは、主に次のような内容で調整を行っていきます。

関係者との調整
  • 看護師:被験者への対応をどうするか
  • 薬剤師:服薬の内容やスケジュールについて
  • 臨床検査技師:検査スケジュールや項目について
  • 放射線技師:検査項目やレントゲンフィルムの扱いについて
  • 医事課:費用について
  • CRA(臨床開発モニター):治験実施計画書(プロトコール)やモニタリングの内容について
  • SMA(治験事務局担当者):治験に関する各種書類の管理について

 

モニタリングとは、治験が正しく行われているかを確認する活動のことです。

治験依頼者や治験実施者より指名を受けたCRAが、治験の進行状況などを調査しに来院するため、治験コーディネーターは書類を準備したり、CRAからの質問に回答したりします。

有害事象に対応する

治験を進めていくにつれてまれに被験者に重篤な副作用が出たり、検査値が大きく変動したりすることがあります。

このような事象を「有害事象」と呼び、発生した場合の一次対応を担当するのは治験コーディネーターです。

有害事象が認められた場合は第一に被験者の安全性を確保し、報告書を作成して迅速に医師や製薬会社へ報告します。

治験期間中に発生した有害事象は、「治験薬と被験者の抱える疾患のどちらが原因になっているのか」を判断するのが難しいケースがあります。

治験コーディネーターには、治験薬が原因で発生する有害事象を理解しておくだけではなく、「疾患による症状にどのようなものがあるのか」といった広い医学的知識が求められます。

診察や検査の結果、被験者との会話などを観察し、有害事象が出ていないか見つけることが大切です。

症例報告書の作成を支援する

治験実施計画書(プロトコール)により、被験者の診察結果や有害事象は製薬会社へ報告することが義務付けられています。

この症例報告書の作成を支援することも治験コーディネーターの仕事です。

治験コーディネーターは原資料に基づき、治験責任医師の指示のもと、医学的判断を必要としない部分を転記したり確認したりします。原資料とは、カルテや投薬記録票、検査結果などのことです。

治験コーディネーターになる方法は?

看護師からでも転職可能な治験コーディネーターは、特別な資格が必要ない職業です。

主に病院かSMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)に勤めます。

必須の資格はない

治験コーディネーターになるために特別な資格は必要なく、未経験からでも応募することができます。

しかし、医薬品や医学的知識を必要とする業務が多いため、看護師や薬剤師の資格が役立つでしょう。

日本SMO協会の「公認CRC」や一般社団法人日本臨床薬理学会の「認定CRC」など、治験コーディネーターには認定資格があります。

こうした認定資格は治験コーディネーターとしての専門性を高め、ステップアップを目指す場合に生かせるものです。

では、治験コーディネーターにはどのような人が向いているのでしょうか。

治験コーディネーターに向いている人は?

治験コーディネーターは、治験がスムーズに進むよう医師や製薬会社と被験者の間に立って調整役を務めますので、柔軟な対応力があり、コミュニケーション能力の高い人が向いているでしょう。

また、治験に参加する被験者の心配や不安を軽減するために、被験者のメンタルケアも行います。

そのため、被験者の気持ちを察し、気配りができることも被験者との信頼関係を築いていく上で欠かせないスキルです。

看護師に向いている人と共通項が多いですね。

看護ちゃん

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治験コーディネーターの主な就職先

治験コーディネーターとしての就職先にはどのような場所があるのでしょうか。

治験コーディネーターとして働くには、病院に直接雇用されるタイプの治験コーディネーターになる方法と、SMOの職員として治験コーディネーターになる方法があります。

病院内の治験コーディネーターとして働く場合は、すでに勤務している看護師や薬剤師が部署異動して治験コーディネーターの業務を行うようになるケースや、病院内での人員募集にとどまることが多く、外部からでも申し込み可能な求人数はあまり多くありません。

また、普段は看護師や薬剤師として働き、治験を行う場合だけ治験コーディネーターを兼務するというケースも見られます。

SMOは治験を行う医療機関と契約し、治験コーディネーターを派遣する企業です。

SMOの治験コーディネーターとして働く場合は、治験を行う医療機関に派遣され、そこで業務を行います。

治験ごとに勤務する医療機関が変わりますので、出張や転勤などの可能性もあります。

治験コーディネーターのメリット・デメリット

転職する前にあらかじめ知っておきたい、治験コーディネーターのメリットとデメリットをご紹介します。

治験コーディネーターのメリット

勤務先にもよりますが、治験コーディネーターは給与のアップが期待できる仕事です。

最初の給与は年齢やこれまでの経験によっても左右されますが、スキルを磨きステップアップすることで給与が増えるでしょう。

また、治験コーディネーターの募集は、即戦力となる看護師や薬剤師、臨床検査技師などの有資格者を対象としている場合がほとんどです。

所有している資格によって初任給が異なるSMOもあります。

病院勤務の看護師と比べると、夜勤がなく規則的に休日を取得できるのもメリットです。体力的な負担が軽減されるでしょう。

そして、治験を通じて新薬の開発に携わり、その薬が認可されて発売が決まれば、大きな達成感を味わうことができます。

治験コーディネーターのデメリット

看護師から転職する場合、治験コーディネーターの仕事は「看護師の経験をすべて生かせるわけではない」ということを心にとどめておく必要があります。

治験コーディネーターは看護師時代の経験や知識を必要とする職業ではありますが、患者の看護をするわけではないからです。

また、全体的に、資料や治験データをまとめて報告書を作成するなど、デスクワークの多い仕事です。

看護師のように体を動かして働くことが好きな人や、パソコン操作を苦手とする人にとっては、デメリットになるかもしれません。

SMOの治験コーディネーターは、治験ごとに勤務する施設が変わります。

そのため、新しく治験を始める医療機関が地方の場合は、出張が多くなることが考えられます。

宿泊を伴う出張や医療機関への移動距離が長い場合は、ライフスタイルを見直す必要も出てくるでしょう。

出張や長距離移動を避けたい場合は、病院内や地域密着型のSMOを勤め先に選ぶのがおすすめです。

治験コーディネーターは看護師の新しい活躍の場

治験コーディネーターは医療現場のスタッフと協力し、新薬の開発を陰で支えることが仕事です。

看護師のように直接患者を看護することはありませんが、新薬開発の一端を担うことで病気と闘う人たちに貢献しています。

治験期間中は被験者とじかに関わり、サポートしていきますので、医療従事者としてのやりがいも感じられます。

また、治験を担当した薬が新薬として世の中に出回ったときは、看護師とは異なる感慨を味わえるでしょう。

未経験でも治験コーディネーターに転職できるよう、教育体制を充実させているSMOもあります。

「夜勤がつらい」などの理由で看護師からの転職を考えている人は、候補として検討してみてはいかがでしょうか。

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